火災保険を払いすぎていないか確認!保険料を抑えるための方法

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火災保険を更新するタイミングで、保険料を見直したいという人も多いのではないでしょうか。この記事では火災保険の保険料を払いすぎていないか、見直しポイントや、保険料を抑える方法について詳しく解説します。

また、2022年10月に実施された保険料改定などについても解説しています。保険料を見直す際の参考にしてください。

火災保険を払いすぎていないか見直しポイント

まずは火災保険の保険料を見直すポイントについて解説します。

超過保険になっていないか

建物を金銭的に評価した額(保険価額)に対して、設定している保険金額が超えている状態を「超過保険」といいます。実際に支払われる保険金以上の保険金額の設定となっているため、適正な状態とは言えません。

例えば、現在の価値が1,000万円の建物に、保険金額2,000万円の火災保険を契約している場合、建物が全焼しても2,000万円の保険金を受け取ることはできません。

なお、保険価額には、「新価」と「時価」という2つの評価基準があり、超過保険は「時価」を基準に評価している場合によくみられます。

  • 新価とは
    新たに同等の建物を建築または購入するのに必要な金額のこと
  • 時価とは
    新たに建築または購入するのに必要な金額から、経年劣化による消耗分や価値の減少を差し引いた金額。つまり、現在の価値のこと

最近は「新価」で評価するのが一般的ですが、古い長期契約、特に1998年の保険の自由化前に契約している火災保険は、「時価」で評価されている場合が多いです。現在契約している火災保険が、超過保険になっていないかを確認しましょう。

⇒火災保険の建物評価額とは?新価(再調達価額)と時価の違いを解説

時価による評価のデメリット
  • 昔の保険や共済などは、時価で計算される場合があります。その場合、古くなるほど建物や家財等の評価が下がるため、建て替えなどに必要な保険金が支払われない場合があります。新価を基準に保険金額を設定することをおすすめします。

補償は必要なものか

付帯している補償が必要か否かを見直すことも、保険料を抑える方法のひとつです。

例えば、ハザードマップ(災害予測地図)において水災の可能性がきわめて低い立地やマンションの高層階などは、水災補償が必要かを検討してみてもよいでしょう。

ただし、どのような状況でも、水災(水害)が絶対に発生しないとは言えません。例えば、豪雨などにより、高層階のマンションでもベランダから浸水したり、排水の逆流によって水浸しになったり、という例もあるようです。あくまで検討軸のひとつであると捉え、想定されるリスクに備えましょう。

ほかの保険と重複していないか

火災保険の補償内容は、大きく「基本補償」と「特約」の2つに分けられます。基本補償は、その名の通り基本的な補償であるため、付帯しないという選択はできません。一方、特約は、必要に応じて付帯を選ぶことができます。

火災保険で用意されている特約のうち、「個人賠償責任特約」は、自動車保険やクレジットカードの特典として付帯されているケースがあります。

個人賠償責任特約は、実際に損害賠償責任を負った額までしか補償されません
例えば、火災保険と自動車保険2つの保険で個人賠償責任特約を契約していた場合、20万円の損害賠償が発生しそれぞれの保険会社に請求しても、得られる補償は合計で20万円です。損害保険は実損填補が基本であり、実際に生じた損害金額しか請求できないことになっているためです

2つの保険会社で契約していても、受け取る保険金が2倍になるわけではないので、ほかの保険と重複して契約していないかを確認しておきましょう。

建物の構造は変わっていないか

建物の構造とは、「建物の主要部分が何で作られているのか」を表しています。住宅物件の場合、建物の構造や耐火性能による3つの構造級別があります。

  • M構造:マンション構造
  • T構造:耐火構造
  • H構造:非耐火構造

保険料は「M構造」が一番安く、次いで「T構造」「H構造」の順になっています。新築時はもちろんリフォーム時などに構造が変更になった場合は、保険料を抑えられる場合があるため、確認しておきましょう。

⇒建物の構造級別を確認する

建物の構造が変わった場合
  • リフォームなどで構造自体が変更になった場合は、保険会社に連絡する義務があります。連絡を怠ると、保険金を受け取れないこともあるので、注意しましょう。 なお、主要構造部によって火災や災害時の損害リスクに差があるため、建物の構造が変われば保険料を抑えられる可能性もあります。構造を証明するために所定の書類を準備し、申請すれば再評価のうえ保険料が算出されます。

賃貸の場合は保険会社の見直しもあり

賃貸借契約において、家財に対する火災保険の契約が必須であるケースはほとんどありません。ただし、物件のオーナーに対する損害を賠償する「借家人賠償責任保険」の契約は必須であるため、必然的に借家人賠償責任保険を付帯できる火災保険の契約が必要です。

賃貸住宅の場合、入居者は原状回復の上で物件を返す必要があります。もし、ボヤや水濡れなどで借りている部屋が損害を被った場合も、入居者が修復しなくてはなりません。借家人賠償責任保険を契約することで、物件が受けた損害をカバーすることができます。

なお、賃貸業者から火災保険を勧められることもありますが、場合によっては保険料が割高だったり、不要なオプションがついていたりするケースもあるようです。

保険会社は自分で選べるため、補償内容や保険金額、保険料などが適正かを判断して契約を検討してみましょう。

火災保険の保険料を抑える方法

ここからは、保険料を抑える方法を解説します。火災保険の検討時に参考にしてください。

⇒火災保険の建物評価額とは?新価(再調達価額)と時価の違いを解説

免責金額を設定する

免責金額とは、損害発生時に契約者が自己負担する金額のことです。

例えば100万円の損害が出たときに免責金額を10万円に設定していると、10万円は自己負担、残り90万円は保険金を受け取ることができます。

免責金額を高めに設定しておくと、万が一の事故が起きた際の自己負担額は多くなりますが、保険料を抑えることができます。なお、免責金額を高く設定すると、いざというときの家計への負担も重くなります。保険料の支払いのバランスを考えて、慎重に検討しましょう。

長期で契約する

従来、火災保険の保険期間は最長36年までとされてきましたが、2014年7月に火災保険の参考純率が改定されたことで2015年10月から最長10年になりました。

さらに、2022年10月には保険料の値上げと、契約期間が最長5年に短縮されました。

⇒火災保険が値上げされた理由や保険料変更の仕組みについて詳しく知りたい方はこちら

火災保険は、長期で契約することで保険料が割引されるものの、契約期間が長いため見直しづらいというデメリットもありました。しかし、改正によって保険期間が短くなり契約更新のタイミングが増えたため、保険料の見直しの機会を設けやすくなりました。

割引を適用する

保険会社によっては、オール電化やホームセキュリティの導入で保険料が安くなる割引サービスがあります。

これらの割引制度が適用されているか、適用されるための条件を確認しておきましょう。

割引適用の確認手段
  • 割引制度が適用されるかは、保険証券の「その他告知事項」の欄に機械警備の実施有無やオール電化住宅への合致状況が記載されているので、確認してみましょう。

複数の保険会社を比較する

火災保険は補償の対象となる事故の範囲や補償される額などが異なるため、同じ建物でも保険会社によって保険料が異なります。一括見積もりサービスを活用し、同じ条件で比較したり、特約を確認したりしましょう。

保険料を払い過ぎている懸念がある場合、まずは専門家に相談してみましょう。なお、火災保険は、近年保険料率が上がっています。見直すタイミングによっては、却って保険料が高くなる可能性があります。見直すべきかどうかも含めて専門家に相談してみましょう。

まとめ

火災保険は、保険会社によって補償内容や保険料が異なるので、複数社比較することをおすすめします。複数社を比較することにより、保険料の相場や補償内容などの違いがわかるでしょう。

現在契約している保険が古い場合は、超過保険など適切な契約内容になっていない可能性もあります。また、他の損害保険でカバーしている特約を重複して契約している場合もあります。しっかり見直して、無駄な出費を抑えましょう。

一方で、保険料を抑えることばかりを考えると、いざというときに必要な保険金を得ることができません。住居の環境や近年の被害例などを加味し、必要な補償をしっかりと備えましょう。また同時に、少しでも払いすぎを防ぐために、見直しポイントや抑えられる方法について確認しておきましょう。

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