建物の構造級別を確認する

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火災保険は、補償内容が同じ場合でも建物の「構造級別」等によって保険料が変わります。建物の構造によって火災や災害が起きた際に生じる損害に差があるためです。火災保険を検討する際は、住まいの構造級別を確認しておきましょう。
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建物の構造級別とは?

建物の構造級別は、構造によって区分されます。 柱の種類(木材なのか、コンクリートなのか、鉄骨なのか)や建物の耐火性能(耐火建築物・準耐火建築物、省令準耐火建物)で判別されます。

建物の構造級別は専用住宅(住宅物件)の場合、M構造(マンション構造)、T構造(耐火構造)、H構造(非耐火構造)に分けられており、「H構造」→「T構造」→「M構造」の順に耐火性能が高く、保険料は「M構造」→「T構造」→「H構造」の順で高くなります。

一般物件(店舗併用住宅)の場合は、1級、2級、3級に分けられており、「3級」→「2級」→「1級」の順に耐火性能が高く、保険料は「1級」→「2級」→「3級」の順で高くなります。

専用住宅一般物件具体例(専用住宅の場合)保険料
M構造-・コンクリート造建物、レンガ造建物、コンクリートブロック造建物、石造建物の共同住宅
・耐火建築物の共同住宅
T構造1級・コンクリート造建物、レンガ造建物、コンクリートブロック造建物、石造建物、耐火建築物のいずれかに該当する建物 等
2級・鉄骨造建物、準耐火建築物、省令準耐火建物 等
H構造3級・M構造またはT構造に該当しない建物

旧構造級別について

上記で述べた構造級別は、各保険会社の火災保険商品改定により、2010年1月1日から現在の3区分に変更されました。

2009年12月31日以前の旧構造級別は、「A構造」「B構造」「C構造」「D構造」の4区分に分かれていました。しかし、建築方法の複雑化により構造級別の確認が難しくなったため、今の「M構造」「T構造」「H構造」の3区分に簡素化されました。

旧構造級別それぞれの主な建物は以下です。

2009年12月31日以前の旧構造級別
  • A構造・・・鉄筋コンクリ―ト造、鉄骨造(耐火被覆)
  • B構造・・・鉄骨造
  • C構造・・・一部の2×4(ツーバイフォー)住宅、木骨造で外壁が不燃材料
  • D構造・・・上記以外

保険始期日が2009年以前(旧構造級別が適用)の契約の継続・見直しをする際は、現在の構造級別への移行に伴い保険料が大きく変わる場合があります。気になる方は保険会社へ確認することをおすすめします。

2009年12月31日以前の
旧構造級別
2010年1月1日以降の
構造級別
耐久性保険料
A構造M構造
T構造
B構造
C構造H構造
D構造

構造級別の確認方法

建物の種類や耐火性能を知れば、住まいの構造級別を判定できます。

構造級別の確認の仕方についてご紹介します。

1. 書類による確認

建物の構造級別は以下の書類で確認できます。

書類一覧
  • 建築確認申請書
  • 建築確認書(確認済証検査済証
  • 建物登記簿謄本(全部事項証明書)
  • 重要事項説明書
  • 登記事項証明書(全部事項証明書、一部事項証明書)
  • 登記申請書
  • 登記事項要約書
  • 工事完了引渡証明書
  • 宅地建物取引業者が交付する重要事項説明書
  • 宅地建物取引業者が交付する不動産売買契約書

すでにご契約の火災保険がある場合は上述の書類以外に、ご契約の保険の保険証券で確認できる場合があります。

また、建物の構造名称は書類によって異なった名称で記載されている場合がありますので以下の記載例を参考にしてください。

お申し込み等の手続きで
選択する構造名
構造名称の記載例
木造・木造(W造)
・木質構造
・枠組壁工法
・2×4(ツーバイフォー)工法
鉄骨造・鉄骨造(S造)
・コンクリート充填鋼管構造(CFT構造)
コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)
・鉄筋コンクリ―ト造(RC造)
・鉄筋コンクリート組積造(RM造)
・壁式鉄筋コンクリート造(WRC造)
・RS造
コンクリートブロック造・コンクリートブロック造(CB造)

2. ハウスメーカー・施工業者等へ確認する

上記の各書類に記載がない場合は、ハウスメーカーや施工業者へ確認する必要があります。

3. 構造級別を判定するフローチャートによる確認

下図の構造級別判定のフローチャートで確認することができます。建物は「一戸建て」ですか、「共同住宅」ですか?

建物の耐火性能とは?

建物の耐火性能(耐火基準)とは、建築基準法等において、火災による延焼や倒壊を防止するために、建物の耐力壁、間仕切り壁、外壁、柱、床、梁等に求めている性能のことです。

耐火性能が高いと、火災になるリスクが低く、万が一火災になった場合でも損害が少ないと考えられています。また、耐火基準の条件を満たしている場合、火災保険の保険料が安くなることがあります。

火災保険料に影響を与える耐火性能(耐火基準)の種類は、以下が該当します。

  • 耐火建築物
    耐火建築物とは、建築基準法第2条第9号の2によって定められた建築物のことをいいます。
    具体的には、主要構造部(壁、床、柱、はり、屋根又は階段)が耐火構造である、又は耐火性能検証法等により火災が終了するまで耐えられることが確認され、外壁の開口部を防火設備にしている建築物のことをいいます。
  • 準耐火建築物
    準耐火建築物とは、建築基準法第2条第9号の3によって定められた準耐火建築物のことをいいます。
    具体的には、耐火建築物以外の建築物で、主要構造部(壁、床、柱、はり、屋根又は階段)が準耐火構造、又はそれと同等の準耐火性能であり、外壁の開口部を防火設備にしている建築物のことをいいます。
  • 省令準耐火建物
    省令準耐火建物とは、建築基準法によって定められた準耐火構造に準ずる防火性能があるとして、住宅金融支援機構の基準に適合する住宅をいいます。
    具体的には、次のいずれかに該当する建物をいいます。
     
    • 1. 住宅金融支援機構の定める省令準耐火構造の住宅の仕様に適合する木造軸組工法の建物、又は2×4(ツーバイフォー)工法の建物。
    • 2. 省令準耐火構造として住宅金融支援機構の承認を得たプレハブ建物。
    • 3. 省令準耐火構造として住宅金融支援機構の承認を得た住宅または工法。

耐火性能(耐火建築物・準耐火建築物・省令準耐火建物)の確認方法

法令上の耐火性能で構造級別を判定する場合、保険会社から確認書類のコピーを求められる場合があります。保険会社から求められる基本的な確認書類は下記となります。

耐火性能の確認方法
耐火建築物1、設計図面・設計仕様書、住宅等の性能を示すパンプレット等
2、建築確認申請書にある第四面の記載内容
 ※「耐火建築物」、「耐火構造建築物」、「耐火」と記載があります
3、ハウスメーカーや施工業者からの証明書
準耐火建築物1、設計図面・設計仕様書、住宅等の性能を示すパンプレット等
2、建築確認申請書にある第四面の記載内容
 ※「準耐火建築物(イ-1)(イ-2)(ロ-1)(ロ-2)」と記載があります
3、ハウスメーカーや施工業者からの証明書
省令準耐火建物1、設計図面・設計仕様書、住宅等の性能を示すパンプレット等
2、住宅金融支援機構等特約火災保険を契約していた(または契約している)建物で、「ご契約カード」などの構造級別欄が以下のいずれかの表示であること
 ・C’(3’)
 ・省令準耐火
 ・省令簡耐
3、住宅金融支援機構の承認を得た「木造軸組工法による省令準耐火構造の住宅」に適合することがわかる資料(特記仕様書)
4、ハウスメーカーや施工業者からの証明書

なお、耐火建築物、耐火構造建築物、省令準耐火建物の確認書類は上記以外にもありますので併せてご紹介します。

書類名
耐火建築物・建築確認書(確認済証、確認通知書)
・施工業者等による耐火基準証明書
・耐火性能が確認できる保険証券等
耐火構造建築物
省令準耐火建物・住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)枠組壁工法住宅工事仕様書
・住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)木造軸組工法による 省令準耐火構造の住宅特記仕様書
・施工業者等による耐火基準証明書
・省令準耐火建物であることが確認できる保険証券等
  • ※省令準耐火建物については「省令準耐火」「省令簡耐」の記載があれば、確認書類として使用できます。

構造級別の確認ができない場合、「保険スクエアbang! 火災保険」を利用することで保険のプロに相談することもできますので、一度お試しください。