火災保険と共済の違い|保険料や補償内容を徹底比較!

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近年、自然災害などが頻発しています。建物や家財の損害に備える方法としては、「公平原則」に基づき、不特定の人に対して販売されている火災保険や、「平等原則」に基づき、共済の組合員に対して販売されている火災共済があります。それぞれどのような違いがあるのでしょうか?保険料(掛け金)や保障(補償)内容を比較しながら解説していきます。
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火災共済とは

共済とは、組合員がお互いに掛け金を出し合って、万が一共済事故が発生した場合、そのお金を原資として共済金を払い、保障する仕組みのことです。

共済は「こくみん共済coop<全労済>」、「コープ共済」、「都道府県民共済」、「JA共済」といった、営利を目的としない非営利団体が運営しており、「平等原則」に基づき、組合員の経済的損失に対して最低限の保障が準備できるという特徴があります。

火災共済とは、建物や家財が主に火災や自然災害などで損害を受けた場合の損失を保障する商品です。

火災共済の最高保障額は下記の通りです。

最高保障額
火災・落雷最高6,000万円(※)
火災・落雷以外の自然災害火災・落雷の場合の20%程度
  • ※600口(住宅400口、家財200口)契約の場合

火災共済と火災保険の違いを比較

火災による損害に備える手段の一つに、火災保険もあります。火災共済と火災保険は、いずれも建物や家財が火災や自然災害で損害を受けた場合の保障(または補償)という点では共通しています。どちらを契約すれば良いか迷っている人は、両者の違いを理解したうえで自分にあったものを選びましょう。

火災共済火災保険
運営元非営利団体営利団体、民間企業
監督官庁厚生労働省や農林水産省金融庁
運営の目的最低限の補償確保幅広い補償と利益の確保
契約対象者原則組合員に限る不特定
保障(補償)の内容
  • 火災、落雷、破裂、爆発、外部からの飛来・衝突、水濡れ、盗難、破損・汚損など
  • 風災・水災・雪災については、共済金額の上限が300万円など少ないものもある
火災、落雷、破裂、爆発、風災、雪災、雹(ひょう)災、水災、外部からの飛来・衝突、水濡れ、盗難、破損・汚損(不測かつ突発的な損害)など
保障(補償)内容の自由度低い高い
風水害への保障(補償)自然災害共済に別途契約が必要、あるいは保障額が少ない商品がある高い
地震保険原則あり
掛け金・保険料安い高い
セーフティネット(組織が破綻したときの保障)なしあり

火災共済と火災保険では、使用する言葉も以下のように異なります。

火災共済火災保険
掛け金保険料
共済金保険金
保障補償

運営元の違い

火災共済は特定の地域や職業の人で構成された各共済団体が、火災保険は各民間の損害保険会社が扱っています。

運営主体の例
火災共済
  • 都道府県民共済
  • こくみん共済(コープ共済)
  • JA共済 など
火災保険
  • 東京海上日動株式会社
  • 損保ジャパン株式会社
  • 三井住友海上火災保険株式会社 など

契約対象者の違い

火災保険は、不特定の人が契約できます。不特定の人に対して、「公平原則」に基づいて販売されています。

一方で、共済では、JA共済のように農業にかかわる人を対象としたものや、都道府県民共済のように県民を対象としたものなど、契約できる人を限定しています。組合員内で「平等原則」に基づき、最低限の保障を確保しています。

契約できる人を組合員に限定していますが、簡単な手続きで共済の組合員になれるものもあるため、実質、契約要件は火災保険と大きく変わらないと言えるでしょう。

補償内容の違い

火災保険やJA共済の商品は、損害の原因を問わず支払われる保険金額(共済金)の上限が一律ですが、こくみん共済の商品のように、風災・水災・雪災の保障が少ない商品もあります。ただし、こくみん共済の場合は、自然災害共済に契約することで、風災・水災・雪災や地震の保障を上乗せできます。

また、県民共済とJA共済は地震共済が基本保障にセットされていますが、一般的な損害保険はセットにはなっていないため、地震保険の契約が別途必要です。

火災共済の種類共済名風水害への保障(補償)地震への保障(補償)特約
風水害への保障(補償)地震への保障(補償)
県民共済新型火災共済最大600万建物損害の5%(最大300万)主契約に含まれている、風水害、地震の上乗せ
こくみん共済(全労災)住まいる共済最大300万円-自然災害共済の契約が必要 大型タイプ:最大4,200万円 標準タイプ:最大3,000万円
  • ※600口加入の場合
自然火災共済の契約が必要 大型タイプ:最大1,800万円 標準タイプ:最大1,200万円 地震等特別共済金(※) 大型タイプ:1世帯あたり4.5万円 標準タイプ:1世帯あたり3万円
JA共済建物更生共済むてきプラス火災・落雷などの災害と同額の共済金が支払われる損害の額の50%まで
ただし、損害割合が5%以上のとき
主契約に含まれている
一般的な火災保険-火災・落雷などの災害と同額の保険金が支払われる-主契約に含まれている特約として地震保険の契約が必要。火災保険金額の50%まで、5,000万円が上限
  • ※契約口数が20口以上の場合のみ対象、住宅の損害額が20万円を超え、100万円以下の場合

割戻金の違い

火災共済は毎年決算を行っています。集めた掛け金から、支払った共済金と事業経費差し引き、余ったお金が発生した場合、契約者に還元されます。このときに還元されるお金のことを割戻金といいます。割戻金は商品や、契約期間によっても異なり、コースによっては割戻金が発生しないこともあります。

一方、火災保険に割戻金はありません。火災保険には満期返戻金や解約返戻金が存在しますが、これらは割戻金とは性質が異なります。

  • 満期返戻金:積立タイプの火災保険を契約していて、保険金が支払われる事態が起きずに、契約満期かつ保険料の支払いをすべて終えている場合に契約者に返されるお金
  • 解約返戻金:長期契約の火災保険を保険期間が満期になる前に解約した場合に支払われる未経過の保険料
解約返戻金とは
  • 保険契約が満期になるまでの残りの期間(未経過期間)分は、所定の計算をしたうえで保険料が解約返戻金として戻ってきます。 契約年数や払込方法、未経過料率などによって計算方法が異なります。未経過料率とは、保険期間と経過年数、経過年数ごとの経過月数に応じて割合が指定される係数です。

共済と火災保険どちらがおすすめ?

共済がおすすめの人

建物や家財に対して、割安で必要最低限の保障を用意したい人は火災共済が良いでしょう。共済の運営状況によっては、割戻金が戻ってくる可能性があります。

火災保険がおすすめの人

保険料が多少高くても、建物や家財の補償を充実させたい人は火災保険が良いでしょう。

また、火災保険は保険期間を5年などの長期契約で、保険料を一括支払いにすることで、支払う保険料の総額を抑えることができるため、保険料を少しでも抑えたい人は長期契約をすると良いでしょう。

共済と火災保険の両方を契約する場合

火災共済と火災保険の両方を契約することは可能です。ただし、仮に重複して請求しても、実際の損害額以上に保険金・共済金が支払われることはありません。

例えば、評価額3,000万円の建物に対し、火災共済金3,000万円の火災共済と、火災保険金3,000万円の火災保険両方を契約していた場合、この建物が全焼しても6,000万円が受け取れるわけではありません。受け取ることのできる保険金・共済金額は併せて3,000万円が上限です。

なお、評価額とは建物の価値を表す金額のことを指します。建物の販売価格とは異なります。

⇒建物の構造級別について詳しく知りたい方はこちら

つまり、火災共済と火災保険の両方を契約しても、保障(補償)の重複が発生するだけでメリットはないため、火災共済か、火災保険のいずれかを充実させることを検討しましょう。

なお、火災共済、火災保険契約時には、他の同種の保障(補償)を既に契約している場合、その旨を告知する必要があります。

まとめ

建物や家財の万が一に備える方法には、火災共済と火災保険の2つがあります。必要最低限の保障を備えたい人は火災共済、充実した補償を用意したい人は火災保険を選びましょう。両者の違いを理解したうえで、自分にあったほうを選ぶことが大切です。