住宅ローンに火災保険の組み込みは必須?新築戸建て購入時の注意点

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新築戸建て住宅を購入する場合、住宅ローンを利用することが一般的です。住宅ローンを組むときに、銀行を含む金融機関から「火災保険の契約が必須条件」と言われた人は多いのではないでしょうか。

今回は、住宅ローンと火災保険の関係性や、火災保険の必要性等について説明します。

住宅ローンを組むときに火災保険は契約必須

住宅ローンを組む場合、ほとんどの金融機関で火災保険の契約が必須条件です。必須条件にしている理由は、金融機関が、住宅ローンの返済が滞るリスクを最小限にするためです。

万が一、住宅ローンの返済中に家が火事になって住み続けることが困難になってしまった場合でも、住宅ローンの返済義務は残ります。 そのため、住宅ローンの返済をしつつ、家の修理または新たな住まい探しをする必要があります。

火災保険を契約することで、保険金が支払われるため、生活を立て直しながら住宅ローンを返済できる可能性も高くなります。

住宅ローンを契約した金融機関から火災保険を紹介されることも多いですが、自分で火災保険を選び、契約することも可能です。自分で火災保険を選ぶ際は、「保険スクエアbang! 火災保険」のように、複数の保険会社を一括で比較できるサービスを利用するのもよいでしょう。

フラット35の利用条件となる火災保険

住宅ローンを組む際に「フラット35」を利用する人も多いでしょう。フラット35でも、火災保険の契約は必須です。

フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供している、最長35年の全期間固定金利の住宅ローンです。

住宅ローンの金利は以下の2種類があり、フラット35は固定金利に分類されます。

  • 変動金利:借入期間中に適用される金利が変動する
  • 固定金利:借入の開始から終了まで適用される金利が固定される「全期間固定金利」と、借入時から一定期間適用される金利が固定される「当初固定金利」が存在

フラット35を利用する場合、契約する火災保険に対していくつかルールが設けられています。

  • 損害保険会社等が扱う火災保険または法律の規定による火災共済であること
  • 建物の火災による損害を補償対象とすること
    地震・噴火またはこれらによる津波を原因とする火災を除く
  • 保険金額は借入額以上であること
    ただし、借入額が保険会社の定める評価額を超える場合、評価額と同額であること
  • 返済終了までの間、火災保険の契約を継続すること

住宅ローンをフラット35で組む場合、火災保険の契約は住宅金融支援機構で手続きをするのではなく、フラット35を取り扱っている金融機関で契約することになります。契約条件等の詳細については各金融機関で異なる場合があるため、契約前に必ず確認しましょう。

新築住宅で火災保険が必要な理由

新築住宅でも火災保険は万が一のリスクに備えて必要です!

火災保険の契約は、新築中古問わず、これから家を購入する人も、すでに家を購入している人にも、万が一のリスクに備えて必要だと言えます。

三井住友トラスト・資産のミライ研究所の「令和の”住まい“と住宅ローン事情」(2022年)によると、住宅購入者の8割が住宅ローンを利用しています。

万が一、火災が発生し家が焼失してしまった場合、建物や家財の再購入費用だけでなく、住宅ローンの返済も必要です。火災保険を契約することで、これらの出費をまかなうことができます。

火災保険を契約していない場合、どのようなリスクがあるか、また、火災保険の補償内容を併せて紹介します。

火災保険を契約していない場合のリスク

冒頭で説明した通り、住宅ローンを利用する際は火災保険の契約を必須条件としている金融機関がほとんどです。

しかし、本来、火災保険の契約は任意です。内閣府の「保険・共済による災害への備えの促進に関する検討会 報告」の参考資料によると、2015年度の持家世帯の火災保険または火災共済を契約している割合は82%です。つまり、残りの18%の持家世帯は何かしらの理由により、火災保険を契約しない選択をしています。その場合、火災や風水害等により家が大きな損害を受けたとしても、火災保険の補償を受けることができません。

火災保険未契約の一番大きなリスクは、損害額が全額自己負担になることです。これは、もらい火の場合でも同じことが言えます。

例えば、隣の家で火災が発生し、その火が延焼して自分の家に被害が及んでも、損害の補償は自己負担になるケースがあります。これは「失火責任法」という法律により定められています。

失火責任法の内容は、「過失による火災の場合、重過失の場合のみ損害賠償責任を負うが、軽過失の場合は損害賠償責任を負わない」というものです。

また、建物や家財が焼失した場合、再購入する費用も全額負担する必要があります。もし、自分の家を建て直したり、家財を再購入したりする場合、いくら必要になるかを調べておくとよいでしょう。

火災保険の補償範囲

火災保険は火災による損害だけでなく、台風や大雨等による自然災害や盗難といった人災の補償も受けることができる保険です。火災保険では補償が適用される保険の対象を、「建物のみ」「家財のみ」「建物と家財」の3つの中から選びます。

「建物」は建物本体だけでなく、門・塀・物置・車庫・ポスト、さらに建物に取り付けてあるエアコンやインターホン等、「建物に固定されて動かないもの」を指します。

「家財」は家具・電化製品・衣類等の「建物内にあり動かせるもの」を指します。

保険の対象で気を付けるべき点は、もし対象が「建物のみ」の場合、家具や衣類などの「家財」が損害を受けたとしても補償されない点です。火災保険契約時には、補償対象も検討しましょう。

次に、火災保険の補償範囲の代表的なものを紹介します。

火災保険の補償範囲
補償範囲補償内容
火災火災、落雷、破裂・爆発による損害
風災風災、雹災、雪災による損害
水災浸水等の水災による損害
盗難・水濡れ等盗難、水濡れ、外部からの物体の衝突、労働争議等に伴う破壊行為等による損害
破損等偶然な破損事故等による損害

火災保険は、上記のように補償範囲が幅広い保険です。補償がセットになっている商品や、必要な補償のみを付帯することができる商品など、種類は様々です。補償内容を充実させるほど、保険料は高くなるため、自分にあった補償を選ぶようにしましょう。

戸建ての火災保険料の相場は?

では、実際に火災保険を契約する場合、保険料はいくらになるのでしょうか。

今回は下記の条件で、火災保険料の一例を紹介します。

<シミュレーション条件>

東京都、新築、戸建て:80平米、建築保険金額1700万円、家財保険金額500万円、保険期間5年の場合

  • ※引受保険会社:東京海上日動火災保険株式会社の場合
建物構造※1火災保険料の相場(5年)
T構造71,030円
H構造134,170円
  • ※1 「T構造(耐火構造)」はコンクリート造・鉄骨造の建物等が該当、「H構造(非耐火構造)」は木造の建物等が該当

建物の構造によって耐火性能が異なるため、保険料が大きく異なります。新築戸建て物件を購入するほとんどの場合、木造を指すH構造です。2022年に「保険スクエアbang! 火災保険」で一括見積もり依頼の申込みをしたユーザーの約94%H構造です。

ただし、上記の保険料はあくまでも一例です。火災保険料は、同じ立地、同じ建物でも、水災補償や地震保険の有無、保険期間によっても大きく保険料が変わるため、一概に相場はいくらとは言えません。まずは複数の保険会社から見積もりを取り、比較することをおすすめします。

火災保険はいつまでに契約する?最適なタイミングとは

新築戸建ての場合、火災保険の契約は建物の引き渡しを受ける前に行い、引き渡し日から補償が開始されるように契約するのが一般的です。火災保険の契約手続きには数日かかることもあるため、引き渡し日直前に契約すると補償開始が間に合わないこともあります。

タイミングは、物件の引き渡し日がわかった時点、または引き渡し日の2週間前が一般的ですが、住宅ローンを利用する場合は、火災保険を契約していないと住宅ローンを組めない保険会社がほとんどなので、余裕を持って契約手続きをしましょう。

住宅ローン契約時の火災保険の保険期間

住宅ローンを契約している場合、火災保険の保険期間はローンの返済期間と同等にしなければならないと定めている保険会社がほとんどです。例えば、35年でローンを組んでいる場合、火災保険の最長保険期間は5年のため、残りの30年分は更新または新規契約する必要があります。

火災保険の保険期間は、1年契約から最長で5年契約まで年単位で選ぶことが可能です。また、火災保険には長期契約割引があり、契約期間が長いほど割引率が大きくなります。割引率は保険会社によって異なりますが、5年契約の場合、1年契約に比べて保険料が12%安くなります。

さらに、保険料の払い込み方法によっても割引率が変わります。基本的に払い込み方法は「月単位」「年単位」「一括」の3つあり、払い込みの回数が少ないほど割引率が大きくなります。一括で払うと一番割引率が大きくなりますが、払い込み額も大きくなるため、予算に応じて無理のない方法を選ぶのが良いでしょう。

住宅ローンには、火災保険の継続手続きを忘れないよう、住宅ローンの期間に合わせて自動継続ができる特約を設けている保険会社もあり、契約している火災保険をそのまま継続する場合はとても便利です。

住宅ローンを完済しても火災保険は強制契約?

住宅ローンの返済が完了したとき、火災保険の契約も終了するのか、それとも強制的に継続しなければならないのか、どちらでしょうか。

住宅ローンと火災保険はそれぞれ別の契約です。そのため、住宅ローン完済後、火災保険の契約が残っている場合は満期までそのまま補償を受けることができます。

住宅ローンの完済と同時に火災保険の満期を迎える場合は、そのまま契約していた火災保険を継続するか、新規で火災保険を契約するか、火災保険を契約しないのか、自由に選択ができます。

しかし、火災や自然災害等の万が一の被害に備えて、火災保険を継続、または新規で契約することをおすすめします。

ローン返済中でも火災保険の見直しは可能

住宅ローンの契約時、ハウスメーカーや金融機関に紹介されてそのまま火災保険を契約する場合もあります。後から契約内容を見直してみると、必要な補償が付帯されていなかったことも起こりえます。その場合、火災保険を途中解約することは可能でしょうか。

結論として、火災保険の途中解約は可能です。また、途中解約による違約金はなく、未経過期間の保険料は返還保険料(解約返戻金)として返ってきます。ただし、途中解約をする場合は所定の料率がかかるため、実際には未経過期間の保険料よりも少なくなることや、満期が近い場合は返還保険料がゼロになる場合もあるため、保険会社に確認することをおすすめします。

では、火災保険を見直したい場合、どのようなタイミングが最適なのでしょうか。

火災保険の契約が満期になったとき

火災保険の契約が満期になると更新通知が届きます。これは、火災保険を見直すタイミングのひとつです。特に、長期契約の場合、数年前と今とではライフスタイルが大きく変わっていることもあるため、補償内容や家財の保険金額を見直すと良いでしょう。

住宅の増改築やリノベーション等を行ったとき

戸建ての場合、家の増改築やリノベーションによって建物の面積が変わることがあります。火災保険は、建物の面積によって保険料も異なるため、建物の再評価、保険金額の再設定が必要です。そのため、家の増改築は火災保険を見直すタイミングと言えます。

もし、増改築やリノベーションを行ったことを保険会社へ報告しなかった場合、増改築・リノベーション部分の保険金が支払われないこともありますので注意しましょう。

家族構成に変化があったとき

「子どもが生まれた」「子供が独立して家を出た」等、家族構成に変化があった場合も火災保険を見直すタイミングです。家族の人数の増減に伴って、家財の数も増減するため、保険の対象に家財も含んでいる場合は、実態に合った保険金額の設定になっているかを確認しておきましょう。

火災保険の解約と返還保険料について

火災保険を解約した際の返還保険料の計算方法は、支払い方法や保険期間によって算出方法が異なります。長期一括で保険料の払い込みをしている場合、返還保険料(解約返戻金)は、長期一括払込保険料に未経過料率を乗じて算出ができます。

未経過料率は、各保険会社のウェブサイトや資料などで確認ができます。ただし、保険会社や契約時期によって未経過料率は異なる場合もあります。そのため、返還保険料がいくらかを知りたい場合は保険会社に問い合わせをしましょう。

質権設定のある場合の乗り換え方法

住宅ローンを組む際に、金融機関から借入金の担保として、火災保険に質権(しちけん)設定を求められることがあります。

質権設定をすると、火災保険の保険金請求権や返還保険料請求権の受取人が、火災保険の契約者ではなく金融機関になります。例えば、火災により建物が消失してしまった場合、保険金は住宅ローンの契約者が受け取るのではなく、金融機関が受け取ります。金融機関は質権設定をすることにより、確実に住宅ローンの残債を回収できます。

火災保険に質権設定をしている場合、住宅ローンの借入れ側は火災保険の解約や乗り換えが自由にできなくなります。借入れ側が自由に火災保険の見直し・解約ができてしまうと、火災保険金額が住宅ローンの残席に満たない契約になる懸念があるためです。

なお、質権設定は住宅ローンを完済すると消滅するため、完済後は自由に火災保険の解約や、乗り換えが可能です。

⇒火災保険の質権設定についてさらに詳しく知りたい方はこちら

まとめ

住宅ローンを組む際は、火災保険を長期で契約することがほとんどです。必ずしも、住宅ローンを契約する金融機関に紹介された火災保険を契約しなければならないというわけではありません。自分に合った補償内容で契約をしましょう。

また、2022年10月以降は、最長契約期間が5年になったため、住宅ローンの完済までに火災保険を見直すタイミングが何度か訪れます。契約後もその時の状況に合わせて補償内容を見直すことも大切です。

補償内容を検討する際は、複数の保険会社を比較・検討することが大事です。無料で保険会社を一括で比較できる「保険スクエアbang! 火災保険」といったサービスを有効活用しましょう。補償内容の選び方など、保険のプロが相談にのってくれるサービスもあります。

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