耐震リフォームの種類と費用の相場|補助金と税額控除も活用しよう

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耐震リフォームと一口にいっても、実は大きく分けて3つの種類があります。地震による倒壊を防ぐもの、揺れそのものを軽減するものなどです。それぞれリフォーム費用や性能に差があり、耐震リフォームをすることで、住宅品質確保促進法で定められた耐震等級が高まることもあります。 また、耐震等級が高いほど、より大きな地震に耐えられる可能性が高まったり、地震保険が割引になったりするといったメリットも考えられるでしょう。このほか、建築基準法で定められた耐震基準をクリアしているか否かによって、受けられる減税制度や自治体の補助金も異なります。 耐震リフォーム自体にかかる費用だけでなく、リフォームによって節約できる金額も考慮しながら、所有する建物に合ったリフォーム内容を選びましょう。

耐震リフォームとは

まずは耐震リフォームがどのようなリフォームを指すのか、耐震リフォームを行うことによる利点を紹介します。

新耐震基準に適合するリフォームのこと

耐震リフォームとは、一般的に、1981年に改正された建築基準法で定められた耐震基準、通称「新耐震基準」にかなうようにリフォームすることを指します。

この新耐震基準に適合していないと、住宅ローン減税を受けることができません。また、木造建築の場合は築20年、コンクリート造の場合は築25年を経過すると、新耐震基準の適合有無に関わらず住宅ローン減税の対象外となります。

ただし、上記築年数を経過した中古住宅を購入する場合でも、住宅の取得後に耐震リフォームを行って基準をクリアできるのであれば、住宅ローン減税を受けられます。

この制度を利用するためには、不動産の売買契約後、物件が引き渡される前までに「耐震基準適合証明書の仮申請書」を自治体で取得する必要があります。その上で、引渡し後にリフォームを行い、「耐震基準適合証明書」を取得しましょう。

住宅ローン控除は10年から13年に
  • 今までは、住宅ローン減税の控除期間は10年でしたが、消費税率10%引き上げに伴う措置として、控除期間は13年に伸びています。建築年数はあくまでも最初に建てた時期なので、リフォームをしたからまたリセットされるようなことはありません。

耐震リフォームを行うことで資産価値や耐震等級が上がる

耐震リフォームを行うことで資産価値が向上します。新耐震基準への適合は住宅購入希望者が重視するポイントであり、住宅ローン控除も受けられることで、物件が売れやすくなるためです。

また、耐震リフォームを行い耐震等級が上がれば、段階に応じて地震保険料の割引を受けることも可能です

耐震等級は日本住宅性能表示基準で定められており、1~3まであります。その区分と地震保険料の割引率は次の通りです。

耐震等級内容地震保険料の割引率
耐震等級1新耐震基準をクリアしている。
震度6強から7相当の地震に耐えられる、最低限の耐震性能を満たしている。
10%
耐震等級2耐震等級1の1.25倍の耐震強度。学校や病院といった公共施設の強度レベル。30%
耐震等級3耐震等級1の1.5倍の耐震強度。災害救護や復興を行う拠点となる、消防署や警察署の強度レベル。50%

また、耐震性能だけでなく、耐火性能を上げることで火災保険料が安くなるケースがあります。

たとえばセコムの火災保険は、空調、給湯、調理などすべてを電気でまかなえる設備にするとオール電化住宅割引が適用できるため、さらに保険料が安くなります。

耐震リフォームの方法は大きく分けて3種類

耐震リフォームには、耐震・制震・免震の3種類があります。それぞれのメリットとデメリットを確認し、所有する住宅に適したものを選びましょう。

住みながら工事しやすい耐震リフォーム

メリットデメリット
  • 住みながらリフォームできる可能性が高い
  • 3種類のなかで最も費用が安い
  • 上階ほど揺れが強い
  • 家具や家電は転倒の恐れがある
  • 1度目は耐えられても2度目は倒壊するリスクがある

耐震リフォームは柱、梁、壁といった支えになる部分を補強して建物の倒壊を防ぐ方法で、3種類の中では最も費用が安いことが特徴です。軽微な工事であれば住みながらでも実施可能で、地下室がある建物でも対応できます。

ただし、耐震の目的は地震による倒壊を防いで避難できなくなる事態を避けることなので、揺れ自体を軽減するわけではありません。上階ほど揺れを強く感じやすく、地震によって家具が倒れることもあります。

また、1度は耐えられても、建物への負荷はかかっているため、2度目の大地震では倒壊するリスクがあります。1度きりの工事で終わらせるのではなく、定期的なメンテナンスを行うことが大切です。

耐震リフォーム後のメンテナンス
  • 耐震リフォームを行った後も、10年に1回は定期メンテナンスとして、外装工事や屋根のメンテナンスなど必要な手入れをしておくことをおすすめします。定期的にメンテナンスをすることで住みやすい状態を保ちやすく、メンテナンス費用を計画的に算出しておくことができます。

住みながら工事もできる制震リフォーム

メリットデメリット
  • 揺れそのものを吸収するため建物への負荷がかかりにくい
  • 耐震リフォームに次いで費用が安い
  • 上階ほど揺れが弱い
  • 住みながらリフォームできる可能性がある
  • 台風の揺れにも対応している
  • 狭小住宅には向かない
  • 家具が転倒することがある

揺れそのものを吸収する制震ダンパーや制震ゴムといった資材で、建物への負荷を軽減する方法です。外壁や内壁の一部を取り外して資材を設置する工事が必要ですが、工事内容によっては住みながらリフォームを行うことが可能です

耐震リフォームに次いで費用が安く、耐震よりも建物への負荷を軽減できる上、上階になるほど揺れが軽減されます。また、建物の揺れ自体を抑えるため、台風による揺れに対応できるのも特徴です。

ただし、壁や天井の内部に資材を設置できるほどの空間があることと、柱や梁が各種資材を取り付けられる材質であることが条件になります。そのため、リフォーム業者による建物内部の調査結果次第では、選択できないこともあるでしょう。また、耐震ほどではないにしても揺れることから、家具が倒れてしまう可能性はあります。

大規模工事になる免震リフォーム

メリットデメリット
  • 揺れを感じづらい
  • 家具の転倒リスクが低い
  • 建物への負荷が極めて低い
  • 3つの方法のなかで最も高コスト
  • 地下室のある家では選択できない
  • 台風の揺れには対応しない

建物と地面の間に、揺れを逃がすアイソレータや揺れを吸収するダンパーといった装置を入れて、地面の揺れを建物に伝えにくくする方法です。

揺れそのものを伝えない方法なので、家具が倒れるリスクは低いといえます。建物への負荷も3つの方法のなかで最も軽度で、躯体損傷のリスクが低めです。

ただし、コストが高く、施工できる業者が少ないというデメリットがあります。また、建物と地面の間に装置を入れる必要があることから、地下室のある建物では選択できません。

なお、免責リフォームは大規模工事が必要で工期も長いため、住みながら工事をするのは困難です。免震装置を入れるためには空きスペースも必要で、すでに建っている建物に導入するにはハードルが高いといえるでしょう。

ただし、コストが高く、施工できる業者が少ないというデメリットがあります。また、建物と地面の間に装置を入れる必要があることから、地下室のある建物では選択できません。

耐震リフォームの流れ

耐震、制震、免震を含む耐震リフォーム全般の流れを解説します。おおまかに分けると5つのステップがあり、支出を伴うものもあります。流れと費用を把握して耐震リフォームの準備に役立てましょう。

  • 1. 耐震診断を行う
  • 2. リフォーム業者に見積もりを依頼する
  • 3. 業者と契約を結ぶ
  • 4. 工事の実施
  • 5. 最終確認・工事完了

耐震診断を行う

建物が新耐震基準に適合しているかわからないときや過去に災害にあっている場合、しばらくメンテナンスをしていない場合は、耐震診断を行います。

耐震診断で耐震等級1級であれば新耐震基準に適っています。1級に満たない場合は耐震リフォームを行いましょう。

また、地震保険の割引率を高めたいのであれば、2級以上を目指すのもおすすめです。どの程度のリフォームを行えば2級以上になるかは建物によるため、リフォーム業者に要望を伝えましょう。

耐震診断は、リフォームを行う業者も可能ですが、自治体に登録されている耐震診断士にも依頼できます。リフォーム前提ではない場合や、診断結果によって業者を選びたい場合は、耐震診断士に依頼しましょう。

なお、診断方法には、建物を破壊せず目視で確認する一般診断法と、壁や天井を剥がして内部の構造を確認する精密診断法があります。診断費用の目安は、一般診断法が10万円程度、精密診断法が20万円程度です。

最初から精密診断を依頼しても構いませんが、一般診断後に補強の必要がありそうなら、精密診断を依頼するという方法もあります。

なお、自治体によって耐震診断に補助金が支給されることがあります。補助金の支給有無は、どのような診断をするかによって異なることがあるため、自治体に確認しましょう。この点については後ほど詳しく紹介します。

リフォーム業者に見積もりを依頼する

耐震診断結果を業者に伝えて、見積もりと補強計画の提案を依頼します。

業者によって提案する耐震リフォームの内容や金額に差があるため、複数業者に見積もりを依頼した上で、比較しながら選ぶのがおすすめです。

また、見積もりを取り寄せるだけでなく、打ち合わせも行います。金額だけでなく納得できる説明をしてくれるかどうか、信頼できるかどうかも確認することが大切です。

なお、見積もりを依頼する段階から業者を迷ってしまう場合や、業者を探すのが困難な場合は、一括見積サービスのリショップナビがおすすめです。

実績や保有資格などの厳しい基準をクリアしたリフォーム業者だけが加盟しており、最大5社まで無料で見積もりを依頼できます。

また、工事中にミスや損害が生じた場合に備えて、1年以内の損害保証が設けられています。

業者と契約を結ぶ

複数の見積もりと提案から、業者を選んで契約します。契約書に次の内容が記載されているかを確認しましょう。

  • 見積もり時の工事内容、金額と同じことが記載されている
  • 図面や仕様書に相違がない
  • 打ち合わせ通りの工期・引渡し時期であること
  • 打ち合わせ通りの支払い方法であること
  • クーリングオフについて赤で記載されていること

なお、クーリングオフについては業者に説明義務があるため、しっかり説明されたかどうかも重要です。また、工事後に保証書・耐震基準適合書を発行してもらったかどうかを確認しておきましょう。これは、後述する減税制度の適用を受けるために必要です。

業者と契約を結ぶ

基本的には、契約書に記載されていることや工事計画に基づいて工事が行われます。

ただし、任せっぱなしにせずに、自分自身でも養生の箇所や進捗状況などを定期的に確認し、職人に挨拶しておくことが大切です。

その理由は、思わぬトラブルを避けるためです。養生されていない部分や剥がれてしまっている部分があれば、家具や壁をキズつけるリスクがあります。

また、契約時の工期よりも進捗が遅れている場合もあります。

なお、優良な業者なら手抜き工事をするとは考えられませんが、確認に行くことで現場の職人の士気が高まり、より丁寧に仕事をしてもらえる可能性があります。

最終確認・工事完了

工事が終わったら、不備がないかを業者といっしょに確認します。ただし、すべてが期待通りになっているとは言い切れません。

例えば、耐震リフォーム工事のために切り取ったクロスを、耐震リフォーム工事の一環として業者が貼り替えた場合、その部分だけ既存のクロスから浮いて見える、といったことは少なくないケースです。

その違和感が妥協できる範囲なのか、契約時の話と違うのかはしっかり確認し、問題なければ保証書・耐震基準適合証明書を受領します。

また、耐震リフォームをすれば、今後もずっと安心というわけではないので、定期メンテナンスの必要性、タイミングも確認しましょう。

耐震リフォームにかかる費用の相場

リフォームの種類費用の相場
耐震リフォーム数十万円
制震リフォーム50~200万円
免震リフォーム300~600万円

耐震リフォームにおける耐震金具の取り付けは、1ヵ所あたり約30,000円が目安です。基礎補強がされており、そこに金具を打ち増しする程度なら総額10万円でも済むケースが一般的です。

ただし、家が広いなど取り付けるべき金具の数が多い場合は、耐震リフォームでも100万円を超えることがあります。

また、制震リフォームは装置の設置費用と、作業のために解体した部分の修繕、リフォームが必要です。50~100万円程度が相場となり、建物の内側から工事する場合が70万円程度、外壁を解体して工事した場合は200万円程度です。

p>免震リフォームは設置する装置自体の価格が高いことに加え、建物と土地の状態に左右されることと作業できる業者が限られることから、相場は300~600万円程度と幅があります。

耐震リフォームで利用できる補助金と減税制度

耐震リフォームを行うときに利用できる自治体主導の補助金や、国税庁に申請することで受けられる減税制度をみておきましょう。

自治体に申請して受けられる補助金

耐震リフォームをするときの補助金を自治体に申請できる場合があります。

例えば東京の千代田区では、耐震診断で耐震性が不足していると診断された建物に対して、地震災害対策工事の実施をした場合に補助金が出ます。

リフォーム代金に対する助成率と限度額の目安は、住宅が面する道路が緊急輸送道路なら助成率2/3、限度額430万円、一般道路なら助成率23%、限度額150万円です。

また東京の調布市では、耐震診断について費用の2/3、上限15万円の補助金を申請できます。

このように自治体によって補助金制度は異なります。リフォームしたい建物がある地域を管轄する自治体の補助金制度と、その適用条件を確認しましょう。なお、申請はリフォーム後ではなく、リフォーム前に行います。補助金の交付が決定されてからリフォームしましょう。

リフォーム業者の選定基準
  • 補助金の申請も含んでリフォームすることが前提なので、国や自治体の補助金との流れをしっかり把握しているリフォーム業者を選びましょう。昨今は、この補助金の搾取を狙う不審な業者もいるので、信頼のおける業者の選定が必要です。

耐震リフォーム後に受けられる税額控除

1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた、耐震基準を満たさない建物の場合、2009年(平成21年)1月1日から2021年(令和3年)12月31日までの間に耐震改修工事をすれば、「耐震改修促進税制」を利用できます。

この税制を利用すると、耐震工事にかかった費用(上限250万)の10%がその年分の所得税額から控除されます。

なお、1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた住宅の場合、2006年(平成18年)月1日から2021年(令和3年)12月31日までに耐震リフォームをすれば「住宅耐震改修特別控除」を利用できます。耐震工事にかかった費用の10%、上限25万円まで控除可能です。

ただし、どちらの申請にも地方公共団体が発行する「住宅耐震改修証明書」の提出が必要です。

火災保険はリフォームにも使える?

火災保険の補償を耐震リフォームに適用できれば、実質の支出額を減らせそうですが、実際に可能なのかについて解説します。

あくまで修繕がメイン

結論からいえば、火災保険で耐震リフォーム費用をカバーするのは困難です。

火災保険は基本的に、地震に起因する災害被害の補償はカバーしていません。また、地震以外の災害による破損の修繕がメインであり、事前の備えのためのリフォームにも非対応です。

どのような時に火災保険を使った修繕ができるのか

事前に備えるためのリフォーム、地震被害による修繕やリフォームは火災保険の補償の適用外ですが、次のようなケースでは火災保険でカバーできます。

地震以外の災害による破損の修繕

保険会社にもよりますが、一般的には火災、落雷、風災(台風)、雪災、水災といった、地震由来ではない災害による住宅破損を修繕する金額は、火災保険でカバーできます。

また、保険契約時の保険証券に、物置やカーポートを含むことが記載されていれば、住宅の本体以外の修繕費もカバーできます。

さらに、契約内容によっては、室内にある家財までカバーしているものもあるため、災害によって被害を受けた、家具や家電の買い替え費用を申請できる可能性があります。

雨漏り対策の外壁塗装

地震以外の災害によって生じた破損や大雨の影響で雨漏りしている場合は、外壁塗装の費用を火災保険でカバーできることがあります。

ただし、工事金額が保険の免責金額を下回っていないことが条件です。

保険請求の時効は事故日から3年以内なので、過去の災害に起因するものだと判断できればカバーされます。ただし、経年劣化による修繕、家の価値を高めるための美化としての外壁塗装は範囲外です。

たとえ災害による雨漏りであっても、災害発生から年月が経過すると、経年劣化と判断される恐れがあるため、早めに保険会社に申請することが大切です。

雨漏りの原因を証明するには
  • さまざまな建物の損害のうち、特に雨漏りは、台風の影響なのか経年劣化によるものなのか、分かりにくい場合が多くあります。台風による被害を証明するものとしては、写真しかありません。災害後は、建物をチェックし、写真で記録することをおすすめします。

まとめ

耐震リフォームには大きく分けて3種類があり、それぞれにメリットとデメリットがあることや、対応できる業者に違いがあることがわかりました。費用も大きく異なるため、住宅に求める耐震性能と価格のバランスをみて選びましょう。

また、保険、補助金、税額控除を利用するには、耐震リフォームを行ったことを示す書類の提出が必要です。

そのため、書類をあらかじめ把握しておきましょう。リフォーム業者が発行する書類の確認に役立ちます。なお、業者選びに困ったときは、一括査定サイトのリショップナビなどを活用しましょう。

日本は、地震大国なのでいざという時に自分の身を守るためにも耐震工事は必要になります。国や自治体の補助金や控除なども上手に使って、耐震工事を検討してみるといいでしょう。

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