火災保険の必要書類|契約・保険金請求時にわけて解説

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火災保険を契約したり、実際に保険金を請求したりする際は、事前に必要書類を用意しておくとスムーズです。 ここでは、火災保険と地震保険の申込みから保険金請求時まで、各手続きに必要な書類をまとめて紹介します。

火災保険の申込みに必要な書類

火災保険の申込みに必要な書類は、大きく分けて以下の3つです。

  • 建物情報を証明する書類
  • 耐火性能を証明する書類
  • そのほか必要な書類

これらは一般的に必要な書類です。契約内容によって異なることがあるので、詳細は保険会社や取扱代理店で確認しておきましょう。

建物情報を証明する書類

建物情報とは、建築年月や対象住宅の住所などが記載された情報です。建物情報を証明するために必要な書類は、戸建てかマンションかによって異なります。

戸建ての場合

戸建ての場合、火災保険の申込みに必要な書類は以下のいずれかです。

  • 「登記簿謄本」または「登記事項証明書」
  • 「確認済証」または「確認通知書」

「登記簿謄本」「登記事項証明書」は、いずれも登記記録の内容を記載した書類で、ほぼ同じものです。登記所では登記記録の電子化が進んでいる一方、直接登記用紙に記載されたものも一緒に保管されています。電子化された登記記録を印刷して証明したものが「登記事項証明書」で、登記用紙に書かれたものを複写して証明したものが「登記簿謄本」です。

いずれも最寄りの法務局で入手できます。窓口で請求・発行できるほか、オンラインでの請求・発行も可能です。手数料は、窓口での請求が600円、オンライン請求・送付は500円、オンライン請求・窓口交付は480円です。

確認済書、確認通知書とは
  • 「確認通知書」とは、家を建てるときや改築時などに発行される書類です。設計の時点で建築基準法の規定に適合しているかどうかの建築確認申請を出し、受理されると確認通知書が発行されます。確認通知書が発行されて着工、という流れになります。なお、「確認通知書」と「確認済証」はほぼ同じもの。1999年に施工された改正建築基準法前が確認通知書、後が確認済証という名称になっています。

「確認通知書」または「確認済証」は、通常、建築確認が済めば3週間ほどで施工業者やハウスメーカーから発行されます。再発行ができないため、原本の保管には気をつけてください。

マンションの場合

マンションの場合、火災保険の申込みに必要な書類は以下のうちいずれかです。

  • 「登記簿謄本」または「登記事項証明書」
  • マンションなど建物の「重要事項説明書」または「売買契約書」

重要事項説明書は、宅建業法が及ぶ範囲の業者(仲介をしている不動産業者や建設会社など)から不動産を購入する際、契約締結前に不動産会社から受け取る書類です。

売買契約書は、不動産会社が作成した契約書に買主と売主が署名・捺印をした書類です。

書類を受け取ったら署名・押印を確認したうえで、大切に保管しておきましょう。

耐火性能を証明する書類

対象の建物が以下に該当する場合は、耐火性能を証明する書類が必要です。

<建物の種別>

  • 耐火建築物
  • 準耐火建築物
  • 省令準耐火建物
  • 特定避難時間倒壊等防止建築物

<耐火性能を証明する書類>

  • 耐火性能等証明書
  • 設計仕様書または設計図面、パンフレット
  • 確認申請書(第四面)

「耐火性能等証明書」は、各保険会社で用意しているもので、各社によってフォーマットは異なります。必要事項を記載したうえ、施工業者やハウスメーカーから証明印を取り付けて提出する必要があります。

「設計仕様書」または「設計図面」「パンフレット」は、施工業者やハウスメーカーから入手できます。住宅購入時に受け取っていることが多いです。

「確認申請書(第四面)」は建物施工業者やハウスメーカーから入手できます。通常は、建物が建築主に引き渡される際に受け取ることが多いです。

そのほか必要な書類

保険料を分割払いで口座引き落としに設定する際に、金融機関口座の情報を確認できる書類(通帳やキャッシュカード)が必要です。

分割払いの手続きとして、保険会社所定の書類に口座情報を記入し、押印して提出するのが一般的です。

地震保険の申込みに必要な書類

地震保険は、火災保険とセットでなければ加入できない保険となります。

火災保険に地震保険を付帯する際は、地震保険料の割引を適用するための書類が必要です。地震保険料に適用される割引には、以下の4つがあります。

地震保険料に適用される割引割引率
建築年割引10%
耐震等級割引10%・30%・50%
耐震診断割引10%
免震建築物割引50%

それぞれの割引を適用するのに必要な書類を解説します。

地震保険に関する法律の制定
  • 地震保険は、1966年に「地震保険に関する法律」が制定され、政府がバックアップする形で成立する保険商品として地震保険ができました。巨大地震が発生した場合、損害が大きく、多額の保険金の支払いが予想されます。しかし、保険会社だけで負担するにはリスクが大きすぎるので、政府の再保険(保険会社の保険)によって保険会社と政府が保険責任を分担しているのです。

建築年割引に必要な書類

建築年割引とは、保険の対象になる建物が1981(昭和56)年6月1日以降に新築された建物である場合に適用される割引です。

建築年割引の適用にあたって求められる書類は、新築・購入住宅問わず、「建物の所在地」「1981年6月1日以降に新築された建物であること」が確認できる必要があります。さらに、新築の場合は公的機関による受理がされているもの、購入住宅の場合は宅地建物取引士や宅地建物取引主任者の記名・捺印がある書類などが求められます。

新築の場合

建物の所在地、1981年6月1日以降に新築された建物であること、公的機関による受理などを確認できる書類が必要です。下記の書類が一般的です。

  • 建築確認書(確認済証または確認通知書)
  • 検査済証
  • 建物登記簿謄本
  • 登記事項証明書

購入住宅の場合

いずれも宅地建物取引業者が交付したものであることが前提です。

  • 重要事項説明書
  • 不動産売買契約書
建築年割引の適用対象
  • 建築年割引の対象が1981年6月1日以降の建物とされている理由は、建築基準法が改正され、耐震基準が現代に通じるものとなった年月日であるためです。つまり、1981年5月31日以前に建築された建物に地震保険の割引はありません。

耐震診断割引に必要な書類

耐震診断割引とは、保険の対象となる建物が改正建築基準法(1981年6月1日施行)における耐震基準を満たしている場合に適用される割引です。

耐震診断割引を受けるには、以下のうちいずれかの書類が必要となります。

  • 耐震基準適合証明書
  • 住宅耐震改修証明書
  • 地方税法施行規則附則第7条第5項の規定に基づく証明書
  • 建築士等が発行した現行耐震基準適合が確認できる書類など

いずれも、建築士、検査機関や登録住宅性能評価機関などに作成してもらう必要があります。また、これらの書類の作成依頼も、書面で行う必要があります。

耐震等級割引に必要な書類

耐震等級割引とは、保険の対象となる建物が「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」または「耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針」に基づく耐震等級を有している場合に適用される割引です。

耐震等級とは、住宅の性能表示制度を定める「品確法」にもとづき2000年に制定された、地震建物強度を判断する指標です。

以下の通り、耐震等級によって地震保険料の割引率が異なります。

耐震等級地震保険料割引率
3等級50%
2等級30%
1等級10%

建物の耐震等級を確認するためには、以下のいずれかの書類が必要です。

  • 建設住宅性能評価書または住宅性能証明書
  • 適合証明書
  • 技術的審査適合証

「建設住宅性能評価書」「住宅性能証明書」は、品確法に基づく登録住宅性能評価機関へ依頼し、発行してもらいます。

「適合証明書」は、独立行政法人住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す証明書、「技術的審査適合証」は長期優良住宅の認定申請の際に使用する品確法に基づく登録住宅性能評価機関が作成した書類です。

「適合証明書」「技術的審査適合証」ともにローン借入時に取得している証明書でいずれも専門業者に証明、発行してもらいます。

上記のほかにも使える書類はあるため、加入したい地震保険の会社に確認しましょう。

耐震等級の意味
  • 耐震等級は、数字が大きいほど耐震強度が強いことを示します。耐震強度1は建築基準法に定められている新耐震基準を満たしている建物が該当します。なお、「長期優良住宅」として設定されるにはより強度の高い耐震等級2以上の強度が必要です。

免震建築物割引に必要な書類

免震建築物割引とは、住宅が法律に基づく「免震建築物」の基準を満たす場合に保険料が割引になる制度です。免震建築物割引を適用するには、以下のいずれかの書類が必要です。なお、免震建築物割引に必要な書類は、先述した「耐震等級割引に必要な書類」と同じです。

  • 建設住宅性能評価書または住宅性能証明書
  • 適合証明書
  • 技術的審査適合証

保険金の請求に必要な書類

火災保険の加入後に損害が発生した場合は、速やかに保険会社に連絡してください。

保険金の請求に必要な書類は保険会社によって異なりますが、一般的には以下の書類が必要とされています。

必要書類
※()内は書類の説明事項
入手方法
保険金請求書
(保険金請求を保険会社へ依頼する書類)
保険会社より所定の書類を送付してもらう 会社によっては専用ウェブサイトでダウンロード可能
保険金の請求権者を確認するための書類
(請求権者の本人確認書類。印鑑証明書や住民票の写しなど)
役所の窓口か、証明書発行センターで入手する
事故内容報告書/事故届出書
(事故の状況・概略を記載する書類)
保険会社より所定の書類を送付してもらう
会社によっては専用ウェブサイトでダウンロード可能
損害明細書
(保険事故によって損害を受けた家財などをまとめて記載する書類)
保険会社より所定の書類を送付してもらう
会社によっては専用ウェブサイトでダウンロード可能
修理見積損害明細書
(保険事故によって損害を受けた家財などをまとめて記載する書類)
損害を受けた住宅や家財の修理見積もりを業者に依頼して入手する
罹災物件写真
(損害の程度や建物の全体像など確認できる写真)
保険会社の指示に従い、自身で保険事故現場の写真を撮る
撮影した写真データはメールに添付して送付するのが一般的
罹災証明書
(おもに火災や自然災害による損害を受けた際、その被災状況を証明してもらう書類)
火災の場合は管轄の消防署、それ以外の自然災害は自治体から入手する
建物登記簿謄本
(土地や建物の概要や所有者といった、不動産の情報が記載されている書類)
法務局の窓口かオンライン請求で入手する
印鑑証明書
(保険金請求者の印鑑登録を証明する書類)
役所の窓口か、証明書発行センターで入手する

保険会社や契約内容、保険事故の状況によって必要書類は異なります。事故発生時には速やかに保険会社へ連絡し、必要書類を確認しましょう。

まとめ

火災保険の契約や保険金請求には、以下のような書類が必要です。

  • 火災保険の申込み:建物情報や耐火性能の証明書類
  • 地震保険の申込み:地震保険料割引を受けるための書類

火災保険の契約で使う書類の種類は複数ありますが、保険会社や代理店から必要書類については説明がありますので、焦る必要はありません。入手方法がわからない場合も、しっかり説明を受けましょう。

また、保険会社や契約内容、事故の発生状況によって必要書類は異なりますが、大半の書類は共通しています。事前にある程度確認しておけば、よりスムーズな手続きができるでしょう。

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