火災保険の契約期間10年を廃止して5年に短縮される理由を解説

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火災保険の最長契約期間が10年から5年に短縮されます。これは、契約者にとっては火災保険の実質的な値上げといえます。また、同じタイミングで火災保険の値上げも予定されています。しかし、今ならこうした火災保険の値上げの影響を抑えるための対策を立てることができます。この記事では、火災保険の最長契約期間が短縮される理由と、最長契約期間が短縮される前にするべきことについて解説しています。

火災保険の契約期間10年が廃止される

2021年6月16日に損害保険料率算出機構は、火災保険の参考純率の適用期間を10年から5年に短縮することを発表しました。これにより、火災保険の最長契約期間が10年から5年に短縮されます。

火災保険は、一般的に長期契約の一括払いをすると割安になります。例えば同じ10年契約の火災保険料でも、毎月口座引き落としなどで10年間支払い続けるより、10年分の保険料を一括で支払った方が1ヶ月あたりの保険料は割安になります。また、5年契約を2回行うよりも、10年契約を一括で行う方が割安です。10年分の一括支払いができなくなることは、実質的な値上げです。

いつから火災保険10年契約が廃止されるのか?

損害保険料率算出機構の発表を参考に、各損害保険会社が保険料や最長契約期間を決めていきます。そのため、最長契約期間が10年から5年に短縮される具体的な日程は、保険会社によって異なりますが、2022年10月以降になる見通しです。

  • (※2021年12月時点)

したがって、仮に損害保険会社が、2022年10月1日始期以降の契約から最長契約期間を5年にする場合、2022年10月1日以降に始期日を迎える火災保険が影響を受けます。

火災保険の10年契約がなくなる理由

火災保険の最長契約期間が10年から5年に短縮されるのは次のような理由からです。

  • 自然災害による保険金支払額の増加
  • 保険料改定の適用が早くなる

それぞれ詳しく解説していきます。

自然災害による保険金支払額の増加

火災保険の最長契約期間が短縮される要因の一つに、自然災害による保険金支払額の増加があります。損害保険料率算出機構が公表している、主な風水災の火災保険金の支払い結果をみると、高額な保険金の支払いが毎年発生していることがわかります。

【2017年~2020年に発生した風水災による支払保険金調査結果】
年度主な風水災支払保険金(火災保険)
2017年度平成29年台風18号300億
平成29年台風21号1,078億円
2018年度平成30年7月豪雨1,520億円
平成30年台風21号9,202億円
平成30年台風24号2,856億円
2019年度令和元年台風15号4,244億円
令和元年10月25日の大雨155億円
2020年度令和2年7月豪雨848億円
令和2年台風10号932億円
  • ※各年度末時点、見込み含む
  • ※出典 一般社団法人日本損害保険協会 損害保険料率算出機構

火災保険の保険料は、建物の構造や所在地など、様々な要素で決まっていきます。建物の所在地によって、台風など自然災害による損害の発生率も変化します。損害保険料率算出機構が、どれくらいの頻度で災害が発生するか、ある程度見通しを立てて参考純率を設定します。保険会社はそれを参考に保険料を設定しています。

しかし、地球温暖化などの影響から、従来よりも自然災害が発生するリスクは上昇しています。現時点でも、保険会社の想定以上の損害が発生し、保険金の支払いが相次いでいます。そのため、各損害保険会社の火災保険の収支は悪化し、火災保険の値上げだけでは、収支の改善が厳しい状況です。

そこで、火災保険の最長契約期間を短縮し、災害リスクの上昇をより早く保険料に織り込むことで、十分な保険金支払いのための余力を保とうとしているのです。

保険料改定の適用が早くなる

保険会社が、災害リスクの上昇を保険料に織り込んで改定した場合、その影響を受けるのは、改定後に新規契約するか、更新した時です。

例えば、10年の長期契約で、かつ一括で保険料を払っている場合、改定後の保険料が反映されるタイミングは、次の火災保険更新時にあたる10年後です。しかし、最長契約期間を5年にすることで、従来よりも早く改定後の保険料を適用することができます。

このように、保険会社にとっては、保険の契約期間を短くして保険料改定の反映を早くすることで、収支の改善ができるようになります。

契約期間が10年から5年に短縮されることの影響

火災保険の最長契約期間が10年から5年に短縮されることで、保険契約者にはメリットとデメリットがあります。

それぞれ詳しく解説していきます。

契約期間短縮のメリット

最長契約期間が短縮されることのメリットは、火災保険の契約を見直す機会が増えることです。

火災保険の契約期間が短縮されると、火災保険の見直しや、契約内容を確認する頻度が増えるため、契約内容を忘れにくくなります。万が一の際に、火災保険を活用しやすくなるでしょう。また、火災保険の補償内容をより時代に即したものに保ちやすくなります。契約期間中に新たな特約がリリースされることもあるので、更新のたびにチェックしておきましょう。

契約期間短縮のデメリット

最長契約期間が短縮されることのデメリットは二つあります。

  • 保険料の支払いが増える
  • 保険の更新を忘れる可能性が高まる

火災保険の保険料は、なるべく長期間の保険料を一括で支払った方が、安くなる傾向があります。そのため、保険の最長契約期間が10年から5年に短縮となれば、保険料の割引率が低くなるため、保険料の負担が増えます。

また、火災保険の契約期間終了後も、同じ保険会社・補償内容での契約を継続したい場合で、かつ自動継続特約に入っていない場合は、契約更新の手続きが必要になります。しかし、10年から5年に保険期間が短縮され、満期の頻度が多くなると、うっかり契約の更新を忘れてしまう可能性が高まります。更新を怠ると、万が一のときに補償されないので注意が必要です。

契約期間短縮前に保険料を安く抑えるには

保険料を安く抑えたい場合、最長契約期間が5年間に短縮される前に、より割引率の高い長期契約を結ぶことが有効です。

すでに10年、5年などの長期で火災保険に契約している方は、契約を変更すべきか迷うかもしれません。しかし、長期の火災保険は、途中で解約をすると、まだ経過していない期間の火災保険料が解約返戻金として戻ってくるので、それを元手に、新たに10年の火災保険に契約する方法もあります。

なお、保険会社によって解約返戻金の割引率は異なるので、長期契約の中途解約はシミュレーションをしたうえでメリットがあるかを事前に確認しましょう。

また、建物の所在地や構造によっては、2022年の改定後の火災保険料の方が安くなる可能性もあります。そのため、改定前に、契約を変更してメリットがあるか、こちらも事前に確認することがおすすめです。

まとめ

2022年以降から、火災保険の最長契約期間が10年から5年に短縮されます。これは、保険会社の想定を超える大規模な災害が多く発生したことで、火災保険金の支払いが増加し、収支の均衡を保つことが難しくなっていることが要因です。最長契約期間が短縮されることで、契約者の火災保険料の負担が増えます。

また、同じタイミングで火災保険料の値上げも予定されています。最長契約期間が短縮される前に、火災保険を見直して、長期契約を行い、値上げの影響を受けにくくするとよいでしょう。

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